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No.2本然主義 >>  
創造のための美術史講座

編著 関根英二;ルボー主宰
 


美術体系テキスト<創・造の歩み>
創造とは歴史を超えることです  
 ある個性が、何かに惹かれうたれる出合い、これを美学的には美的体験と呼びますが、この出合い(モチーフ)に生成し必然するあらわれ(フォルム)が芸術作品です。したがってこの芸術作品は、その個性の眼と精神と手の全体系をもの語る「生の証し」となります。
 また、そうした芸術作品が美的体験を生むこともあり、この出合いを「芸術体験」と呼んで、無限的な場での美的体験を研究する美学に対して、芸術学という領域を形づくるものとなります。美術史は、この芸術学の領分です。
 云うまでもなく、美術する創造的個性の生成にはこの二つの体験の質と量が大きく作用しているのですが、さらにその体験のしかた(学びかた)が特に重要です。この学びかたがその精神(知情意)の全体をかけた、大きく深く、かつ論理的体系的なものであれば、その体験は一つの個性の眼と精神と手の綜合的進化に大きな契機となります。すぐれたすべての芸術家は、こうして日々の営為や芸術作品との出合いに創造されてくるのです。日々と歴史に学び、これに拓かれた個性によってこそ「歴史を超える創造」も可能になるのです。
 日々の真実が芸術の真実(美)となるレアリスムに始まり、新しい真実を生みだす芸術の可能性を試みる純粋絵画(絶対芸術)におよぶ、近現代美術史を眼と精神と手の全体で学び超えるための体系が<創・造の歩み>です。
創造のシステムを学ぶ 
 この創造のための美術史の学びかたは、一つの作品がその「モチーフの内に立つことに生成する」ように、歴史の内に全的な自己企投をするところに始まります。つまり、その芸術表現の内的必然に身を置いて「創造」の全的システムを自覚的に体得していくのです。美術史の現象面の手法や形式の模倣、あるいは乾いた編年史や、「教養」など抽象的な態勢では、創造の本質が見えなくなり、やがてはそれらが堆積されて自由な感性や創造性を圧迫するものとなります。
 創造のための美術史はあくまでも眼と精神と手の全体制で、自覚的・体系的に学ぶことが大切です。つまり、そのすべてを見、識り、目的意識をもって価値判断し、組織的・実践的に学ぶのです。この全的企投によって、その歴史の内的必然と一化し、それを超える個性の創造的進化が可能になります。個性を変革し、つねに新たな創造に向わせる力、それがよき出合いなのです。
 
いかなるモチーフ、いかなる表現にも自在な創造的個性の宇宙はこうして進化していくのです。

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美術生成のシステム
 一つの創造は創意・創作とその具体的制作(造り)の綜合ですが、この活動の契機の次元や潜勢的基底、あるいはその背景にひろがる無限的な史的社会的条件などのすべてがそこに働いています。この全体系に身を入れる方法の有機的システムが<美術体系>です。

 主客無限の超越的宇宙(cosmos)

1.客体系 (objet);外界(無限)。時空、もの・こと。時には一つのことば。
2.主体系(sujet); 内界(無限)。生(資質・態勢)の宇宙。図の(0)
3.契機(motif);主客の出合い、その結び目(機縁)。画因、対象。上図の(1)
4.表象(imager); 心像。発想。モチーフの統一体。図の(2)
5.構想(construction);意識内容と造形計画との方法的複合、変換。図の(3)(4)(5)
6.構成契機(composition); 構想と構成要素要因と媒体資材との具体的複合場。図の(6)
7.技法(technique); 制作法。実践的方法論と構成場の統一。図の(7)
8.手法(maniere); 作品化の技巧、造形価値・芸術性への昇華。図の(9)
9.表現(finis,style); 完成・提示の方法(ものごととしての価値づけ) 。図の(10)

 史的社会的価値への昇華(無限)

 以上の9次元が、創造の全体系です。実践美術史<創造の歩み>は、美術の生成進化のシステムを、自覚的な「生と学と技法の綜合」に学び超えていく創造的個性のための方法論です。
 本講座は、この<創造の歩み>によって、随時連載していく予定です。
 

No.1

写実主義
 <クールベの現実>
見えるものを 見えるがままに

No.2
Naturisume
本然主義  
<マネ,ドガの、行きずりの日々>
あるがままの実態,見え得る事実を

No.3
Impressionnisme
印象主義
 <モネのこの場, この一瞬>
出会い・媒介の現象学-- ニンフの美学

No.4
Neo Impressionnisme
新印象主義
 <スーラの形而上学的世界>
量子化と再構成の造形学「絵は色でつくられる」


No.5


構造・綜合主義
 <セザンヌの統一場>
生と知・主客の綜合「自然は内にある」

No.6
Symbolisme
象徴主義
(1)  <ゴーキャンの楽園 >
直観と象徴と造形の大地。「芸術とは一つの抽象だ--」

No.7
Symbolisme
象徴主義
(2) <ルドンの宇宙>
心象・内在表象の夜 --世紀末デカダン・パルナッシャン

No.8
Fauvisme
野獣派
(1) <ヴラマンクの生>
「表現としての絵」
表現契機の変革 --「芸術的真実より人間的真実を--」

No.9
Fauvisme
野獣派
(2) <画家マチス>
「絵としての表現」;表現法の変革

No.10
Cubisme
立体派
  <ピカソ,ブラック;
質量と多面性・繊細と幾何学の精神>
フォルムの分析・構成転換・昇華の試み

No.11

超現実主義
<ダダからの復活,現在の複合性>
現実 --表象と実体の多次元性の探求

No.12
Abstruction l'Art Abstrait
抽象化と抽象絵画
< カンディンスキー の点・線・面>
シュジェとフォルムの解放・抽象・構成・表現の試み
 


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